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京介さんは「喉が渇いたな」と言い、百貨店内の喫茶店に僕を連れて行った。
向かい合って席に座り、先日のオフ会で僕がこうむった恐怖体験のことを暫し語り合った。気さくな雰囲気の人ではないが、聞き上手というのか、そのさばさばした相槌にこちらの言いたいことがスムーズに流れ出るような感じだった。
けれど、僕は彼女の表情にふとした瞬間に浮かぶ陰のようなものを感じて、それが会話の微妙な違和感になっていった。
話が途切れ、二人とも自分の飲み物に手を伸ばす。
急に周囲の雑音が大きくなった気がした。
もともと人見知りするほうで、こういう緊張感に耐えられないたちの僕は、なんとか話題を探そうと頭を回転させた。
そして特に深い考えもなく、こんなことを口走った。
「僕、霊感が強いほうなんですけど、このビルに入った時からなんか首筋がチリチリして変な感じなんですよね」
デマカセだった。オカルトが好きな人なら、こういう話に乗ってくるんじゃないかという、ただそれだけの意図だった。
ところが京介さんの目が細くなり、急に引き締まったような顔をした。
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