図書館

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大学2回生のとき、出席しなくてもレポートだけ提出すれば少なくとも可はくれるという教授の講義をとっていた。 嬉々として履修届けを出したにも関わらず、いざレポートの提出時期になると 「なんでこんなことしなきゃいけないんだ」とムカムカしてくる。最低の学生だったと我ながら述懐する。 ともかく、何時以来かという大学付属図書館に参考資料を探しに行った。 IDカードを通してゲートをくぐり、どうして皆こんなに勉強熱心なんだと思うほどの学生でごった返すフロアをうろうろする。 こんなに暗かったっけ。 ふと思った。 いや、高い天井から照明は明々とフロア中を照らしている。 目を擦る。 郷土資料が置いてある一角の、光の加減がおかしい。妙に暗い気がする。上を見ても、蛍光灯が切れている部分はない。 俺が首を傾げているその時、眼鏡をかけた男子学生がその一角を横切った。
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