図書館

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スッと、俺の目に暗く見える部分を避けて。 けっして不自然ではない足運びだった。本人もどうしてそんな動きをしたのか、1秒後には思い出せないだろう。 全然興味のない郷土史を手に取ろうと、近づいてみる。 その本棚のかすかな陰に右足が入った途端、すごく、嫌な感じがした。 嫌な予感というのはきっと誰でも経験したことがあるだろう。 その嫌な予感を、なんいうか、腹の下のあたりにゆっくりと降ろしてきたような、そんな感覚。 けっして絶対的に拒絶したいわけではないけれど、触れずに済むならそれにこしたことはない。
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