図書館

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俺は知らぬ間に浮かんでいた冷たい汗を拭って、投げるように本を棚に戻してそのまま図書館を出た。 後日サークルの先輩にその話をした。 俺を怖いものに首をつっこませ続けた張本人であり、師匠風をやたらと吹かせる人だ。 「ああ、旧図書館か」 したり顔で合点がてんする。 あそこは、いろいろあってね。 そう続けて、俺の顔を正面から見据えてから「興味がある?」と聞いてきた。 ないわけはない。 つれられるままに夕方、図書館のゲートをくぐった。 「あそこですけど」 通り過ぎようとする師匠に、本棚の並ぶ一角を示す。 それを無視するように足早に進むので、仕方なしに追いかけた。 書庫へ向かっていた。
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