図書館

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何度か入ったことはあったが薄暗く、かび臭いような独特の空気が好きになれない場所だった。 それに、書庫にあるような本は一般のぐーたら学生には縁遠い。 「タイミングが重要だ」 出入り口に鍵は掛かるが、今はまだフリーに出入りできる。 師匠は書庫に入ると俺に目配せをしながら、あるスペースに身を潜めた。 俺も続く。誰にも見られなかったと思うが、少し緊張した。 ここで、時間を、潰す。 師匠が声を顰めてそう言った。 どうやら夜の図書館に用があるらしい。見回りの職員の目からロストするために、姿を隠したのだ。
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