friend

24/30
前へ
/81ページ
次へ
「それじゃ、事件の概要を確認しよう。 一年前、夜星夫妻の経営するカフェ〈ALICE GARDEN〉が何者かによって放火された。 被害者は夫の太陽(ヒロハル)さんと妻の羽月(ハヅキ)さんの2名。 この時、一人娘の月は幸いにも一命を取り留めた。 その後、彼女は親戚の紅江家に引き取られた。 紅江家には太陽さんの兄の晃(アキラ)さんと妻の霞美(カスミ)さん、そして娘の光琉(ミチル)さんの三人が暮らしていた。 夜星月と紅江光琉は同い年だったが仲が悪かった。 同様に紅江夫妻も月が来る前から、仲が拗れていた。 ただ、夫の晃だけは月に対して冷たい態度をとらなかった。 その晃氏が一昨日、何者かによって刺殺された。 ここまでは合ってるね?」   「うん…けど、私が助かったのは、両親のおかげ… あの時、逃げ遅れそうになってた私を、助け出してくれたから…」       『月!もう大丈夫だ!』   『お父さん…お母さん…』   『月は先に行ってなさい。お母さん達もすぐ行くから…』   『うん!危ないから早くね!』       「…私、気付けなかった…二人とも、最後に必死で嘘ついてさ… …二人の身体にね、傷があったって…お父さんは足、お母さんは背中に… 遺体は階段の下ら辺…私と別れた場所で、重なるように倒れた状態で発見されたって…   分かる!?これは〈奇跡の生還〉なんて素敵な話なんかじゃない!! 二人の犠牲者を伴って生き延びた〈親不孝な娘の話〉そのものよ! 私を助けに戻らなければ、二人とも死なずに済んだ…私が殺したも同然だ!!」   「月っ!!」 「君、本気で言ってるの?」   「だってそうでしょ!? 私のせいでお父さんとお母さんは…!」 「それ以上、自分を責めて何になる? 少なくともご両親は君にそんな思いをさせるために助けた訳じゃ…」 「分かってる!!…頭では分かってる…けど、もし二人が引き返さずにそのまま逃げていれば、助かってたかもしれない… 過去の僅かな可能性に縋ったって良いでしょ!? こうでもしないとやっていけないんだから…! …私だって〈命を懸けて助けてくれた両親を傷付けるような考え〉持ちたくない… でも二人には何の罪もなかった!なのに殺された! 私はそれを探るためにここに来た。私達、家族の無実を証明するために… そう…今度は私が二人を守る番だから!」  
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加