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あのスプレー独特の臭いに気分が悪くなりかけた頃、ようやく生徒指導室から解放された。
苦々しい気持ちを噛み殺しながら廊下に出ると、受験票をヒラヒラさせながら職員室の方向からミホが近づいてきた。
「メグぅ~、アンタも強制スプレー?」
「そうだよ。最っ悪。」
「うわぁ~、お互いヅラみたいだね」
一足先に髪を染められたミキが、ギャハハとのけ反り気味に大笑いした。
「朝から最悪だよね。ってかミホは地毛なんだから染められ損じゃね?」
「そうだよ! 地毛なのに訳分からんね」
ミキは純日本人だけど色素が薄く、ハニーブラウンの綺麗な髪をしている。
それすらも強制的に染めるって、やっぱりこの学校の教師は自分達のことばかり考えてるんだと確信した。
「まぁさ、うちの親さえ黒く染めて行けなんていうんだから。しょうがないんじゃね?」
ミキはまたアハハと笑った。
私は納得いかないけれどミキが抵抗しないのだから、彼女のことにはこれ以上突っ込めなかった。
「高崎さん、園原さん。あなた達で最後よ。早くバスに乗りなさい。」
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