日常

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「おばあちゃんは、何であなたを呼べたのかな」 聞くでもなく呟くと、かつん、と男の靴音が響き衣擦れの音がする。 少女の横に跪くとゆっくりと口を開いた。 「結木家に代々伝わる儀式です。本来は花嫁をこの家に縛るための儀…私と、彼方昔の結木当主の契約を真似たものです。」 「…うちって…そんな昔からあるの?」 開いた口が塞がらないとはこのことだろう。少女は唖然として彼を見る。 確かに今住む家は古い。といっても、せいぜいが昭和だ。分家もなければ、親戚も数人だ。というよりもそれだけの家なら少女を引き取る人間が1人や2人いたって良いはずなのだが。
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