16人が本棚に入れています
本棚に追加
「おばあちゃんは、何であなたを呼べたのかな」
聞くでもなく呟くと、かつん、と男の靴音が響き衣擦れの音がする。
少女の横に跪くとゆっくりと口を開いた。
「結木家に代々伝わる儀式です。本来は花嫁をこの家に縛るための儀…私と、彼方昔の結木当主の契約を真似たものです。」
「…うちって…そんな昔からあるの?」
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。少女は唖然として彼を見る。
確かに今住む家は古い。といっても、せいぜいが昭和だ。分家もなければ、親戚も数人だ。というよりもそれだけの家なら少女を引き取る人間が1人や2人いたって良いはずなのだが。
最初のコメントを投稿しよう!