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「…やっぱり、何も起きないか」
少女は描き上げてから3秒待って、ため息をついた。
子供じゃあるまいし、別に期待なんかしていないけど。
そう思った時、
ピンポーン…
チャイムが鳴った。
「はーい」
誰だろう?
考えるまでもない。
どうせまた、知らない人が両親に線香でもあげに来たのだろう。
パタパタと玄関まで行き、扉越しに尋ねる。
「どちら様ですか?」
「今呼ばれた、悪魔です」
低い、艶のある美声。
扉越しなのに、それだけでも腰に来る美声。
「…は?」
「入れて貰えませんか?せめて、扉を開けて貰えませんか?」
…気のせいだ。
何か変なことを言われたような気もするけれど、私も疲れてるんだろう。
一人納得すると、鍵を開け、ドアを開けた。
「どうぞ。両親に会って下さい」
開けた先にいたのは、声の通りの美形だった。
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