第二章 壱

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5日ほど前に遡る。 誠仁に竜人族と名乗ったあの男は仲間のいるある山に戻っていた。 「帰ったぞ~」 「お帰り、あんちゃん」 「ただいま~」 「戻ったか」 「…長老っ!!お体の方は大丈夫ですかっ?」 「心配はいらん」 この年寄りは竜人族の長老である。 「あんちゃん聞いて~。あんちゃんがいない間に長老様からお名前を戴いたんだよ~」 「もうそんな歳か…。早いもんだな~」 竜人族では三歳を迎えた日に長老から名前をつけてもらうのである。 「そうだでした、長老。ご報告いたします。我らを長い間封じていた安倍一族の安倍誠仁の式神を倒してまいりまいた」 「そうか。その者は確か晴明の後継者とか言われておる者だったかな」 「その通りでございます」 「誠仁を殺ったのか?」 「いえ、偵察だけのつもりでしたので」 「ご苦労、休んでてよいぞ」 「ありがとうございます」 「そうそう。おぬしの他にあと八人ほど選んでおけ」 「…竜人族最強軍団ですか」 「その通りだ」 「わかりました。選んでおきます」 三人は闇の中に消えていった…
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