第二章 壱

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誠仁がいなくなってから七日が経っていた。 「静騎殿よ。誠仁はまだ戻らんか」 「そう焦ることはないですよ、翠弌様」 「しかし…」 「7日ほどで戻ると言っていたのです。待ちましょう」 「うむ…」 誠仁はまだ戻っていなかった。 「それはそうと、竜人族のことはなにか…」 「まだなにも…」 「そうですか…」 「すまぬな…。父上ならなにか知っていたかも知れないのだが…」 「どこに行ってしまわれたのでしょうね…」 「父上は人間と異形の子ゆえ、なにをしでかすか分かったものではないからな…」 「何もかも分からないままですね…」 「ああ…」 「まあ、そろそろ戻ってまいりますよ」 「そうだといいがね」 その時は刻一刻と近づいていた…
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