第11章 逃走劇

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『パラララ』 無惨な姿の野人が草むらから飛び出した。 「!!!!」 悟、勝也は不意をつかれた。「この音は…」 勝也は息を飲んだ。 「うげー」 グロティスクな死骸を見たショックで気持ち悪くなりゲロゲロ鳴らす悟の声が情けなく響いた。 「逃げるぞ!」 勝也はそんな悟を慌てておぶり駆け出した。 「うぅ…そんなに揺らしたら…うう!」 「がんばれ!もうすぐ海に出れるぞ!」 樹々の緑の合間から微かに綺麗な蒼いものが見えた。 日の出で海がキラキラと反射している。 「はやく海で吐きたい…」 「あぁ、急ぐ!」 『パララララ!!!!!』 勝也はスピードアップして走りだした!緩い下り坂がどんどんどんどん急になっていく。と同時に茂みが深くなっていく。 海の潮の香りがしてきた。 『パララララ』 仲居もすぐそこまで迫っていた。至近距離の銃声は凄まじい恐怖に思える。 『ヒュン、ヒュン』 悟たちの脇を銃弾が空を切る音がする。 近くの樹に『バシュ』と鈍い音をたて、えぐれた。 これが人にあたったら…あの野人の惨い姿が脳裏によぎり、余計に気分が悪くなる悟だった。
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