大都市-ヴァルハラ-

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自然の光を忘れた都市に、何よりも高く聳(そび)え立つ建物。 それは都市-ヴァルハラ-の中央に位置し、まるで世界を見渡すように、そこに存在している。 ここは政府最高機関-オーディン-が治める本部。 この都市は、本部を中心に開発され、オーディンが都市の全てを支配・管理している。 そんな本部を見上げる一人の少年。 少年の視野に入って来るのは、空中を規則正しく並び、走る飛行船や空中車。 上か下か…まるで重力を無視した機械仕掛けの道を歩く人々。 足元より下を見れば、幾つものビルが下へ伸びている。 余程深くまで伸びているのであろう。 どんなに目を凝らしても、地面らしい地面が見えることはない。 いや…正しくは、密集して建物が立っていたり、あちこちに伸びている機械仕掛けの道や、走り回る乗り物達、幾多もの様々な機械の光により、視界を邪魔されていると言った方が正しいだろう。 そんな景色は、相変わらずの光景で…。 見慣れた景色を確認するように見終えると、少年もまた、己が踏んでいる機械仕掛けの道を歩き始める。 進行方向には本部の入口。 さすが政府最高機関の本部だけあって、入口には兵士達が侵入者を阻むように横一列に、立ち並んでいる。 普通、一般人が近付こうものなら、兵士は侵入させないよう、邪魔をするのだろう。 しかし、少年が相手は違った。 近付いた瞬間、騒々しく左右に並び直し、まるで歓迎するように入口を開け、敬礼をする。 どうやら少年は、政府側の人間らしく… 兵士達を気にすることもなく、何食わぬ顔をで、本部の中へと入って行った。
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