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「~♪
よっと…。」
爆発後の瓦礫から、軽々しい足取りで、中へ入って行く一人の少年。
「さて、と。
どこだっけなぁ~♪」
「ぅ…。」
爆発に巻き込まれたと思われる兵士が一人。
瓦礫の下敷きになり、気を失いながらも、呻き声を上げている。
少年は、気になったのか兵士に近付く。
「ごめんな。
巻き込んで。」
彼は、そう言うと徐に瓦礫を退け、兵士を助け出す。
『おい…レム。』
左耳に付けていたイヤホン・インカムが少年を呼ぶ。
「わーてるよ。
早くしろって言うんだろ?
直ぐに終わるから少しは黙っててよ。
龍(ろん)のおっさん。」
独り言を言うようにぼやきながら、助け出した兵士を瓦礫も何もない場所へ避難させる。
『ったく。
そういう人思いで、お節介なところは、聖明(せいめい)にそっくりだよな。』
「あ゙~はいはい!
親父の話は良いから!
てか、俺のこと、どこかで見てるわけ?
気持ち悪いくらい言動を把握されてる気がするんだけど?」
レムと呼ばれる少年は、無駄口を叩きながら、治癒魔法で、兵士の傷を簡単に治して行く。
『フレイヤシステムをハッキングしてんだよ。
このシステムなら、どこで何してるかわかるからな。』
兵士の傷がある程度癒え、苦しそうだった呼吸が、楽そうになる。
表情も和らぎ、もう大丈夫そうだ。
「よし。
てかさ…そんなシステムなら上の奴等に既に見つかってるんじゃ…。」
『大丈夫だ。
爆発でシステムが多少ダウンしてる。
そろそろ切替えに入るだろうから、早く奥に進め。
先に正体バレたら目的達成出来んぞ。
まぁ…システムデータを上手い具合、改ざんするから、早くしろよ?』
「はいはい。
ま、大総統殿に姿見られなきゃ…まだ大丈夫だろ。」
少年は、兵士に一礼すると、建物の中枢へと足を進め始めた。
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