共犯者

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全てが立ち去った後、鍵穴を前に、冷静に行動を起こす秘書。 「フレイヤ。 データ改竄、ご苦労様。」 『アリガトウゴザイマス。』 「今から過去の映像データを再現出来る?」 『ハイ。 出来マス。』 「私に、侵入者とフィリア様の闘いから倒れるまでのデータを転送をして。」 麗は、そう言うと、指に付いた機械を作動させる。指からは空中映像が反映され、様々なデータが開かれる。 『データ転送シマス。』 手元の空中映像に、新しいデータが転送される。 私は、データを開き、映像を確認。 侵入者の顔を、より見易くするため、拡大し、レベル補修をする。 「…ありがとう。」 これで良い。 私は、鍵穴を見つめながら、フレイヤに話を掛ける。 「フレイヤ…ごめんね。 こんなことさせて…。」 麗が謝罪の言葉を出した瞬間、鍵穴の前に莫大(ばくだい)な機械数が現れ、次第に人の姿を作り出して行く。 『麗…。』 映像で作り上げられた少女は"フレイヤ"。 映像の彼女は、幼い少女で、青い髪と瞳をしていた。 髪は長く、床まで伸びている。 そんな彼女に、苦笑しながら… 私は見つめた。 「私は…間違っているかな?」 『私にはわかりません…。 ただ…貴方が辛そうなのは、わかります。』 「機械にも感情はあるのね。」 『いえ…ありません。 所詮はデータの集まりです。 感情があるとすれば、私の基(もと)になった方のモノです。』 「そうだったわね…。」 フレイヤは… ただのデータではない。 ある人間を基(もと)に構成・想像された人口知能を持つ、世界で唯一の人らしい機械だ。 フレイヤには、データの基本になった女性の思考・記憶まで残されている。 「大総統よりも私を優先させるなんて…。 貴方にしか出来ない業ね。」 『それが、大総統のためと思ったのでしょ?』 フレイヤの言葉に、目を丸くする。
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