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『私の構成データは、データの基になった"流醒"という女性が大きく関わっています。
私の優先順位は、基本、何が一番効率がよく、何が一番的確な処理なのかを、数値で弾き出し、数値が高いものを優先するようにプログラムされています。
製造者は、基本優先順位演算プログラムだけでなく、別に、更なるプログラムを私に託しました。
それは、"流醒"の思考に従うプログラムです。
時と場合により、理屈や理論よりも、彼女の思考が優先されます。
今回、貴方を優先したのは、思考が優先されたからです。
そして、貴方に従うのが最終的に最善だと、数値が打ち出したためです。』
フレイヤは感情無き表情で淡々と話す。
麗は、そんなフレイヤに笑みを零した。
「本当に人らしい機械ね。」
ただのデータは嘘を吐(つ)かない。
でも、フレイヤは違う。
人のように、相手を想い、優先順位を柔軟的に変え、独自の思考データを元に動く。
だからこそ、大都市ヴァルハラを守れているのかもしれない。
「フレイヤ。」
『はい。』
「貴方が私を優先してくれている間は、共犯者として協力してもらうわよ?」
『はい。』
麗は、最後にもう一度笑顔を見せると、一瞬にして目付きを変える。
「大総統と回線を繋げなさい。」
フレイヤは瞼を閉じると、姿を消し、再び音だけの存在になる。
『了解。
大総統ニ繋ゲマス。』
2人の共犯者は、危険な綱渡りを始めた…。
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