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不気味に輝く月。
そんな月を見つめる、赤い瞳。
赤い瞳もまた、怪しく、狂喜の光を見せていた。
「~♪
フィリア~♪」
相変わらずの鼻歌で、愛しの名を呼ぶ。
「フィリア…ふふふ♪
次に会った時は、どんな顔を見せてくれるのかな?」
『大総統。
緊急回線接続ノ要請ガアリマス。
繋ゲマスカ?』
リノアスの鼻歌を書き消すように、割り込むフレイヤ。
多少、不機嫌そうな表情を浮かべた彼。
しかし、そのまま回線を放置するわけにもいかず、『仕方ない』という態度で口を開く。
「はいはい、良いよ。
繋げて。」
『繋ゲマス。』
「…。」
暫くすると、机の右上にある球体から、映像が表示される。
「大総統。」
「麗?
どうしたの?」
意外な人物からの緊急回線に、多少の驚きを見せるリノアス。
「……フィリア様が攫われたようです。」
リノアスは、声もないまま、大きな音を立て、その場に立つ。
「フィリアが攫われた!?
そんなことあるわけ…」
「フレイヤの記録から、犯人の映像及び、顔が確認出来ています。
今から転送します。」
「…わかった。
フレイヤ、受信してくれ。」
『了解シマシタ。
受信シマス。
暫ク御待チ下サイ。
……受信完了。
データ、開キマス。』
麗が映っていた画面は、直ぐに切り替わり、映像が自動的に流れ始める。
映像の中では、金髪の侵入者とフィリアの姿。
無言のまま、爆発からフィリアが倒れるまでの経緯を見続けるリノアス。
時間の経過と共に、彼の表情は強張った。
「大総統。
犯人の顔を、拡大し、レベル補正した画像が、こちらです。」
映像が流れ終わる。
ただの映像では、ブレていたり、ぼやけたり等で見にくかった犯人の顔が鮮明に写し出される。
「こいつ…。」
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