策略の迷宮

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リノアスは、一瞬固まった。 しかし、暫くすると、狂喜の混ったような笑い声を発し始める。 「くくく…あはははは! これは傑作だ! まさか… まさか、こいつ自身から本部に出迎えるとは…っ!」 麗は知っていた。 彼が侵入者を知っているような口振りをする理由を…。 なぜなら…。 「やぁ…レムセイン…。 愛しい弟よ。 フィリアを…どこへ連れて行く気だい?」 そう… 侵入者の名は、レムセイン・コウ・ディール。 大総統… リノアス・コウ・ディールの弟。 「ふふふ…ちょうど良いや。 麗。」 「はい。」 「報告ありがとうね?」 不適な笑顔で、礼を述べるリノアス。 麗は嫌な予感がした。 「フレイヤ。 一応、ヴァルハラのゲートをロックして。」 『了解シマシタ。』 一応…? 麗の不安は更に募る。 まるで… フィリア様が連れ去られるのをわかっていたような口振り…。 もしかして、私は既に大総統の手の上で、踊らされているのでは…? そんな不安を抱きながら、大総統を呼ぶ。 「大総統。」 「そうそう、麗。 ヴァルハラ全域のゲートに兵士を配備。 それと、レムセインを指名手配。 容疑は、テロ行為・暴行・誘拐とかで適当にお願い。 後…まぁ無理だと思うけど、皆にこう指示出しておいて。 「ロキの一員、レムセインを見つけ次第、確保。 抵抗した場合、その場で処刑して構わない。 レムセインを確保するよりも、フィリア・リームを保護することを優先しろ。」 ってね。」 「…はい。」 何を考えている? この赤い瞳をした彼は…。 大切な"鍵"を奪われたと言うのに… なぜ、こうも冷静で居られる? なぜ…?
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