策略の迷宮

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「麗…。」 「はい。」 疑問と不安に駆られながらも、大総統の声に反応する麗。 画面越しに見える彼は、相変わらず、壊れたような笑みをし続けている。 「指示が出し終わったら… 私の元に来て。 話があるんだ。」 勘付かれた…? いや…何の根拠も証拠もない。 現段階で出来ることは、何も話さず、大総統の指示に従うだけ。 それしかない。 麗は、真直ぐな視線でリノアスを見つめた。 「わかりました。 終わったら、至急向かいます。 それでは、失礼します。」 画面越しで一礼すると、麗は映像から消えた。 そして私も…機会を止める。 再び、部屋には沈黙が舞い降りる。 そんな中、リノアスは椅子に寄り掛かり、ギシっという音を立てながら、溜め息を吐く。 「さて… 麗をビックリさせるために、準備しなくちゃね。」 リノアスは机の引き出しから、何やら機械を取り出す。 その機械は、サングラスのような眼鏡と、コードが多数伸びた、手袋のような機械だった。 その二つの機械はコードで繋がっているようだ。 眼鏡のような機械を掛け、手袋を手にはめると、何もない空中に両手を翳(かざ)す。 すると手から光が発され、ピアノ盤のようなモノが出てくる。 恐らく、光は魔法の一種だろう。 彼は、笑みを零すと、本当にピアノを弾いているように、指が動き始める。 すると、本部全体から、幻想的に曲が、鳴り響き始める。 時に激しく、時に優しく。 「さぁ…起きてもらうよ? 私の傑作品。」 酷く響き渡る曲は、序章の始まり…?
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