偽り続けた女 

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  次の日   「おい…美咲…どうした?」   「昨日…帰ったら ユウとミライが死んでたの」   「は?マジかよ…」   「ユウが遺書を残してたわ」   「どんな?」   「僕は…勢いでお姉ちゃんを殺してしまいました… 僕は男じゃないってなんで教えてくれなかったの? 僕はもう僕がわかりません さようなら」   「あらら…」   「ホント…あららな話ね」   「おいおいお前が言っていいのかよ」   「それより具合はどうなの?」   「ん?ああ…少し痛むよ」   「姉さんの性転換手術… 今更問題ありだなんて あの医者もふざけてるわよね」   「おいおい…俺を姉さんって呼ぶのはもう止めろって言っただろ?」   「あら…ゴメンナサイつい」   「それにしても… ユウ君が女の子だったなんて」   「ユウは男の子よ」   「え?」   「ユウは男、ミライだってちゃんとした女よ」   「じゃあお前…俺にミライちゃんは男だったって言ったのは嘘か?」   「冗談よ?信じてたの?」   「おいおい…」   「ミライにはユウが女だったって嘘ついたわ」   「おいおいなんでだよ?」   「あの子達を引き取った時 ミライが一枚の写真を持ってたの その写真にはミライの本当の妹が写ってたから 嘘つくしかなかったの」   「引き取った?」   「あの子達はね 本当の姉弟でもないし 私の子でもないのよ」   「なるほどね… ずっと…  偽り続けてきた  のはお前の方だったのか」   「そうよ…だから何?」   「それより遺体はどうする?」   「だから…お兄さんに手伝って貰おうと思って」
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