幸っちゃんと野球拳 

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 幸っちゃんと野球拳 

  この神楽町も、夜になれば色を変える。言わば大人の世界ってやつだな。貯まった金はここに注ぎ込む。イラつく社会でたまったストレスは、ここで晴らすって話だ。   「あっ今日は遅くなるから外で飯にするよ」     プツッ‥‥     妻も家に置いてきた。今日は遊ぶぞ!! 夜の神楽町を‥‥。     「戸垣さん、戸垣さんっ!! もう5件目ですよ?」     「いいんだよ!! 今日は1日中遊ぶって決めたんだバカやろー」     「すいません‥‥俺、家に妻を残してきたんで、そろそろ帰ります」     ったく、最近の若い奴はつれねぇなぁ。いいさ、残りは1人で回るさ。     俺は1人で神楽町を歩いていた。     「あれ? こんな店あったかな?」     そこには真っ赤な外装の、龍の看板が付いた店が新しく出来ていた。     その名も  「宝龍館」     また変わった名前だな‥‥。中国系の可愛い子でも揃っとるのかな?     俺は最後の店をここに決めた。
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