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2008年9月17日05時24分 夏の盛りを過ぎる事半月。 残暑も落ち着きを見せ寝苦しかった夜が去り、朝ともなれば布団が恋しくなる今日この頃。 いつもならとうに起きて散歩に出掛けている時間なのだが、夜の薄闇も相まって橋爪源治郎は夢と現の境にあるまどろみから逃れられずにいた。 もし十年若ければ、そのまま二度寝していただろう。 しかし酷使に酷使を重ねた60間近の体はそれを許してくれなかった。徐々に腰が痛くなり横になっていられないのである。 橋爪は小さく溜め息を吐いて、枕元にある時計に手を伸ばした。そしていざ時計を見ようと開けた目に異様な光景が飛び込んでくる。 サッシの硝子戸の先にある縁側に小さな赤い光点が二つ浮かんでいたのだ。 ・・・お、お化け? 橋爪は脅えながらも身構えて、ゆっくり縁側に忍び寄っていった。 ・・・ワン! 橋爪の姿を見た連れ添いのポチが嬉しそうに吠えた。 戸を開ける気力を失い、がっくりとうなだれる橋爪。気恥ずかしいやら情けないやらで逆に笑いが込み上げてくる。 そんな心中など分かる訳も無く、ポチが早く散歩に連れていけとばかりに前足を縁側に乗せた。
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