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かなり早い時間帯に出たからか、他の車は数えるほどしか走っておらず、橋爪をいらつかせたのは信号くらいのものだった。 それは3km先で坂下通りと合流している国道に入ってからも同様で、拍子抜けするくらい順調に進む事が出来た。 もしかすると新米の警官が騒いだだけで、不謹慎ながら単なる殺人だったのかもしれない。 そんな事を考えながら、やがて見えてきた大門署の裏にある駐車場へと回った。 しかしそれは正しく邪推であった事を思い知らされる。 駐車場の入り口に相方の荻野勝が時計を気にしながら立っていたのだ。 自責の溜め息を吐きクラクションを鳴らして呼びかける。 こちらに気が付いた荻野が駆け寄ってきたのでハンドルを回して窓を開けた。 「待たせたか」 「いえ、4、5分ってとこです」 「乾達は?」 「真柴さん拾って直行だそうです。そろそろ着く頃だと思います」 「分かった。お前の車は何処だ?」 「そこに停めてありますけど、多分源さんの車で行った方が良いかもしれません」 「・・・これでか?」 愛着が無いと言えば嘘になるが、今でもたまに恥ずかしくなるほど刑事向きの車では無い。
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