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助手席で苦笑いを浮かべていた荻野のところに警官が飛んできた。
辺りは住宅街。文句を言われるのは目に見えている。素早く窓を開けて警官に有無を言わせず手帳を見せた。
慌てて敬礼した警官が怒鳴りながら橋爪達を誘導する。
車が車も相まって険悪や好奇の目が降り注いできたが、いちべつもくれずに進んでいくと同僚である乾の車があったので隣に停車させた。
それを待ってましたとばかりにマスコミ連中が警官の制止を振りきり押し掛けてくる。
次々と飛んでくる質問を「知らん」の一言で済ませる橋爪。そしてマスコミ連中が唖然とした隙に背を向けた。
その後ろに着いていった荻野が、いきなり立ち止まった橋爪の背にぶつかってしまう。
振り返った橋爪の顔には怒りが浮かんでいた。即座に謝る荻野だったが、良く見れば橋爪の目は荻野を通り過ぎ、その後ろに向けられている。
視線を追っていくと・・・納得の光景があった。
数人の若い男達がキャスターの後ろではしゃいでいるのだ。
不謹慎極まる彼らに荻野も憤りを見せる。
「あいつら・・・」
「・・・行くぞ」
「あ、はい」
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