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今度こそ現場へと向かう二人を待っていたのは、完全にブルーシートで囲まれた二階建ての立体駐車場だった。
ここはそれぞれ20台ほど停められるスペースがある。一体どれだけのシートと人員を割いているのかも気になる所だが、注目すべきはやはりここまでしなければならない現場の状況だ。
「随分、ですね」
「そう、だな」
この先にあるであろう惨状を思い躊躇ながらも、警官に手帳を見せながら意を決して中へと入って行く。
すると歩道寄りの中程辺りに停められた車の周りに鑑識が集まっていた。念の為に内側でシートを支えていた警官に確認してみる。
しかし彼曰く現場は二階だと言う。
顔に不可思議を浮かべ問掛けるように車と警官を交互に見る二人。警官から返ってきた言葉は謝罪だった。どうやら詳しい話は聞かされていないようである。
「どうします?」
「乾達は・・・上かな。とりあえず俺達は下を回ろう」
ほっと胸を撫で下ろす荻野の頭を殴り先に進んでいく。
涙を浮かべながら頭を擦り後に続く荻野だったが、またしても橋爪の背にぶつかってしまった。
「こ、今度は何ですか?」
しかし返答の無い橋爪の脇から顔を覗かせる。
「・・・ひっ!?」
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