18人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
四月、桜が咲き誇る晴れた高校の入学式。
俺は私立の高校へと入学し校門を潜る。同時に緊張をしているのか心拍数がいつも以上に速く動き出していた。
すると…──
「よう~早綺! 久しぶりだなお前!」
俺の今の心情を知ってか知らずか背後から煩い奴──つまり、中学からの腐れ縁である故に親友の忍田恭介がやって来た。
「おわ!? って…恭介か。あぁ…かなり久し振りだな。そしてその腕を離せ、締めるな、技を掛けるなッ」
…来るだけならまだしも、俺の首に腕を回しては技掛け寸前の体勢を作って半分締める。この短時間で吃驚と呆れとツッコミが繰り出すが、こんな状態にした奴をまともに相手した所で話なんぞ聞かない事は長年の付き合いとしての勘をも要らぬほど承知していたり。昔から恭介は誰にでも懐く性質があり、正反対に己から誰かに接する事は無い俺を先程の様に知ってか知らずかも拘わらず、
『ダチにならね?』
っと、自己紹介パス、ハジメマシテの挨拶もパスして声を掛けてきた。まだシャイが改善されていなかった俺には…正直待っていたかもしれない嬉しい一言でもあった。
最初のコメントを投稿しよう!