勇者(仮)誕生

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「まっ、待てよ」 「いや、待てないな」  シェドはこいつ昔から変わらないなとそう思っていた。  二人が逃げた場所はこの村の伝説の剣がある場所だった。 「あっ、この剣懐かしいな……」  シェドは昔のことを考えながら、剣を触っていた。 「確かこんな風に抜こうとしてたよな?」  シェドの両手には剣があった。 「ぶはっ、簡単に抜けてやんの」  ニトが爆笑しているとき、シェドは青ざめていた……  この剣を抜いたとき魔王を倒す冒険に出なくてはならない。  シェドは考えた。昔は勇者にも憧れたがもう今年で21歳になるこの俺が冒険なんかしてはいられないと。 「確かそれ、抜いた奴が貰えんじゃなかったけ? ラッキーじゃん」  コイツ知らないのかとシェドは思った。そして閃く。 「この剣あげるよ。俺には必要ないからな。その代わりお前が抜いたことにしてくれ」 「ぶはっ、マジでくれんの? んじゃ貰うよ。ラッキー、クッキー」 (計画通り!!!)  シェドは上手くニトを乗せることに成功した。
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