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夏休み。
長い長い休みの中で僕にとっては革新的なことが、出会いがあった。
汐音との出会いはそのうちの一つであると核心できる何かがあった。
あっけらかんとした彼女の性格は回りを盛り上げ、楽しい気分にさせてくれる。
夏祭りの時の汐音はいつもとは違い女の子らしい印象を受けたことを今でも記憶の隅に残っている。
「この景色すっげえ。……ってあれ?汐音?」
彼女はベンチの後ろに身を隠した。
「ここから先は行けない。」
高所恐怖症の汐音。
なんとかしてやりたいとその時本心から思った。
だから僕は彼女を目をつぶらせ、抱きしめ、前へ前へと連れていった。
ゆっくりと目を開けた彼女はその景色を焼き付けるかのようにじっと見つめていたことを今も覚えている。
「志樹くん、ありがとう。」
彼女はそう言って僕の頬にキスしてくれた。
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