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「ちょっと、ユウト! ドコ行くの? 今日は早くおウチ帰って、少林寺撲殺拳のDVDを見るんだからね!」
『彼』と書いて『カノ』と読む変わった名前の少女(まぁ、俺の一応幼なじみなんだが)がカバンを持つ俺の左腕を、きゅ~っと引っ張る。
「いや、何かこの公園懐かしいな、と思って」
そこは団地と団地の間にひっそりとたたずむ、何の変哲もない、小ぢんまりとした公園。
いつもなら決して通る事のない道すがらだ。
今日はいつも通る高校からの道順ではなく、ヅダヤで少林寺撲殺拳のDVDを買って、店から家へと帰る近道を通っている。
「こんなショボい公園、どうでもいいじゃん」
カノはともかく早く、俺の買った少林寺撲殺拳が見たくて、もう辛抱たまらないみたいだ。
いつもは何げに主導権を握られてる俺だが、たまには反抗しないとな。
カノを軽く引きずりながら公園に一歩足を踏み入れた。
おそらく、ここで遊んでいたのは小学校の低学年ぐらいまでだったであろうが、何となくは憶えている物である。
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