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朝
カーテンの隙間から、うっすらと射しこんでくる光が幸輔の顔を照らし、寝苦しそうに顔を背けた。すると
「幸輔起きなさい!」
自分の部屋の扉を破壊するかの如く母親が、入って来た。幸輔は一度だけ唸ると、布団の中に体を再び包んでいく。
「起きなさい!」
「うわ!」
布団を引きずられ、幸輔はベッドから落ちた。打った背中を擦りながら
「何すんだよ……」
「時間よ!旅行に行くんでしょ?間に合わないわよ!」
「そんなはずは……」
ベッドの上にある携帯を持ち時間を確認する。顔が一気に青くなった。
「間に合わない!」
携帯をベッドに投げると、反対にある箪笥から今日の分の服を引っ張り出すと着替えを始めた。
「下にご飯あるから、食べなさいよ」
そう残して、母親は出て行った。着替えを終えるとベッドの下にある机から昨日から用意していた鞄をひっつかみ部屋を飛び出した。
「母さん!ご飯どれ!」
「テーブルにあるでしょ?」
テーブルにはパンの下に目玉焼きが乗っていた。幸輔は乱暴に掴むと
「じゃあ、行って来る!」
「気をつけなさいよ!」
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