アッガイ大地に立つ

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「キロー少尉、強奪した新型の乗り心地はいかがですか?」 インカム越しにヨシカワ軍曹の声が響いた。   「乗り心地は悪くはないんだけどねぇ…」 片手で操縦桿を握りながら、こめかみの辺りをポリポリ掻きつつキロー少尉が答える 「乗り心地と引き換えに、パワーが控え目っつーか…ぶっちゃけ、コレ弱くない??」   「そんなハズは無いであります」 ヨシカワ軍曹の声には確信に満ちていた 「諜報部からの報告では、ジオンの新型MSは…」 「…先日ベルファストの沖合で戦果をあげた水陸両用タイプを大幅にデベロップしたもので、ゴッグタイプに比べ高いステルス性と優れた機動性を保持する、恐るべきモビルスーツである、ってんでしょ?」 ヨシカワ軍曹を遮るようにキロー少尉が続けた。 この一時間の間に何度となくやり取りされた台詞のようで、ヨシカワ軍曹も溜め息まじりに 「で、あります」と答えると通信を切ってしまった。
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