第三章

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 しかし、そうはならなかった。 「……ねえ、夏子ちゃん。学校で何かあったのね? 辛かったのね?」  私は布団をかぶって無視を決め込んだ。 「何があったの?」 「何もない!」  しばらく母は黙り込んでいたようだったが、意を決したように言葉を続けた。 「……その、よかったら、私に……お母さんに話してみてくれないかしら?」  カッとなった。頭に血が上った。 「何を! 今までろくに話しかけても来なかったくせに! 私がどんな思いしてるかも知らなかったくせに! いまさら、いまさら母親面するなっ!」  一気にまくしたてて、扉に目覚まし時計を投げつけた。大きな音を立てて、目覚まし時計は壊れた。  母も諦めて、階下へと戻って行った。母の泣く声が聞こえた気がした。
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