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私の祈りが届いたのか、終業のベルが鳴る。私は解放されたんだ。
「……まあいい。次から気をつけろよ」
先生は授業の終わりと、説教の終わりをその一言にのせると、教室を出て行った。
さっそく、大好きな絵の続きを描こうと、ペンを手に取る。ノートの真ん中にはもう少しで完成間近の、魔法少女アンがいる。彼女は私に続きを書かれるのを待っている。
ようし、書くぞ。待っててね、アンちゃん。
とつぜん、アンちゃんが視界から消えた。音もなく、とつぜん。ううん、嘘。音はあった。
「……バカガワさん? あんたまた授業の邪魔してくれたわねえ?」
「どうしてくれんのよ、大事な勉強時間をさ」
香水臭い竹本さんと、その金魚の糞の……えーと、誰だっけ。忘れた。もう、スネ子ちゃんでいいや。竹本さんもジャイ子でいい。ああ、ジャイ子は良い子だから、ジャイちゃん。
決めた、二人はジャイちゃんとスネ子。彼女たちにしたって、私のあだ名を勝手に決めてるんだから、別にいいよね。
「……あんた、何ぶつぶつ言ってんの。まあ、いいわ。ちょっとおいで」
おいで、とか言っちゃって、無理矢理連れて行くくせに。
私は少し抵抗してみたけれど敵わず、無理矢理トイレに連れて行かれた。
あーあ、また絵が描けない。
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