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小学校2年生の秋
「なーなー、これ」
親に学校から貰ってきたスポーツ少年団の冊子を見せた。
「なんやお前、どんくさいのにスポーツやするんか?」
父さんがテレビから目を離して冊子をめくる。
「うっさいわ。なー、何かしたい。」
「あんた続けられるんな?辞めときまい。」
母さんが言う。
「えーやん。」
そう言って父さんから冊子を取り上げて見る。
小さい時からデブな自分がスポーツ何かできん。一番よく解ってた。でも何かしたい。
その頃は習い事を沢山するんが自分の中で[優秀]と格付けされていた。
幼稚園から水泳.硬筆.ピアノを習っていて、まだまだ欲張りになっていた。
「何がしたいんや?お前バレーは辞めとけよ。お前みたいな太いんが飛べるわけないんやけん。」
うっさいな―。そんなん自分がよく解っとるわ。
あえて父さんの言葉を聞き流して冊子をめくった。
「あ...。なあ!うちこれしたい!空手!」
空手のページを見て両親に見せた。
「空手~?」
母さんは流し目でページを見ていた。
「お前瓦でもわるきか!!?」
いちいち突っ込まんでや…と思い
「じゃーええわ。」
そう言って始めから見直す。
なんやねん。やりたいんやらしてや。
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