きっかけ

2/5
73人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
小学校2年生の秋   「なーなー、これ」 親に学校から貰ってきたスポーツ少年団の冊子を見せた。 「なんやお前、どんくさいのにスポーツやするんか?」 父さんがテレビから目を離して冊子をめくる。   「うっさいわ。なー、何かしたい。」   「あんた続けられるんな?辞めときまい。」 母さんが言う。 「えーやん。」 そう言って父さんから冊子を取り上げて見る。 小さい時からデブな自分がスポーツ何かできん。一番よく解ってた。でも何かしたい。 その頃は習い事を沢山するんが自分の中で[優秀]と格付けされていた。 幼稚園から水泳.硬筆.ピアノを習っていて、まだまだ欲張りになっていた。 「何がしたいんや?お前バレーは辞めとけよ。お前みたいな太いんが飛べるわけないんやけん。」   うっさいな―。そんなん自分がよく解っとるわ。 あえて父さんの言葉を聞き流して冊子をめくった。   「あ...。なあ!うちこれしたい!空手!」 空手のページを見て両親に見せた。 「空手~?」 母さんは流し目でページを見ていた。 「お前瓦でもわるきか!!?」   いちいち突っ込まんでや…と思い 「じゃーええわ。」 そう言って始めから見直す。   なんやねん。やりたいんやらしてや。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!