第五章

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――アクア=レインギル視点――   三つある広いグラウンドの一つで心を無にして、心の中でささやくように呪文を思い浮かべる。   『未知なる炎の精霊よ、愚弄する者に刻印を刻み…全てを塵と灰に化せ!!極炎の吐息!!』   ソーッと目を開き、ステッキの先を見ると…ライター程度の火がちょこちょこ吹き出ている。   「ショボッ!!…やっぱり無詠唱魔法は苦手だなぁ…」   赤も魔法使いなのだが、彼に色々聞くわけにはいけなかった。 何故なら顔すらまともに見ることが出来なかったんだから…特訓に誘うなんて、デートに誘うことくらいに無理があったのだ。   「はぁ…明日足引っ張らないかなぁ…緊張する」   補助魔法しか取り柄がない私は、攻撃方法がない。いつも誰かの手助け…自分一人じゃなにも出来ない。   「…クヨクヨしてても始まらないよね!!次は雷!!」
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