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説明が途中で遮られたが俺は岡田拓己。教育学部二回生。カメラ担当。見た目は…まぁ悪くないと思う。彼女は無し。
それにしても、去年は爽やかな高原の合宿所だったのに、今年はこの日差しガンガンの別荘で合宿か。
ここは部長の別荘だ。
人がいる所に行くまで歩いて二時間はかかる辺境の地だ。
いや…辺境のというより秘境か?
「岡田。ぼーっとしない」
怒られてしまった。
玄関を開けるとやけにでかいシャンデリアがぶら下がっている。
どうみても百万単位はしそうな代物だ。
玄関でこれなら中はどうなってるんだよ。
「部長。あのシャンデリア凄いっすね」
思わず口にでてしまった。
「あれはたいしたことないのよ。せいぜい数百万程度よ」
「はぁ…」
返す言葉がなかった。
各々の部屋に荷物を起きリビングに集合することになった
俺の部屋は二階の階段真ん前だ。
その右隣から勇男、沢川さん。向かいが風香ちゃん。左隣りが部長。俺の左隣りが山田先輩、その隣が増田。増田と山田先輩の向かいにトイレと洗面所。物置がある。
部屋の中はかなり豪華だった。
ベットはセミダブルだし窓はでかくて日当たり抜群。本棚には大量の洋書。クイーンやカーの原書が入っている。
「これ初版じゃ…」
怖いので触るのは止めておこう。
荷物を置きリビングに行くとすでにみんな集まっていた。
「じゃあ、みんな集まったわね。今年はいろいろあって私の別荘で合宿を行う。といっても、特にこれ、と言って何かするわけでは無いから安心しなさい。日頃の疲れを癒してもらう!それが我が合宿鉄の掟!」
パラパラと拍手
「ありがとう。とにかくこれから一週間。ここで生活をしていくわけだが、今年は昨年の事故…」
「部長!」
誰かが叫んだ。
「勇男。気持ちはわかるがこれは大事なことよ」
「…はい。すみません」
「ふむ…では続けるぞ。えー昨年の沢川京子追悼と言う意味もある」
ここで補足しておこう。去年の夏合宿で不幸な事故が起きた。映研メンバーだった沢川京子が合宿中に崖から転落して亡くなったのだ。
原因は不明で自殺の可能性もあると聞いている。
「本来ならばメンバー全員参加の合宿だが昨年の事故のこともあり今年は自由参加にした。」
そうだったのか…どうりで少ないと思った。
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