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「ただいま~」
午後六時、麗しき乙女の帰宅。
なんちゃって。
靴を直し、歩き慣れた廊下をゆっくりと歩いていくと台所から声が聞こえた。
「お帰り、姉貴」
声の主は私のとってもかわいい高校生の弟だ。
両親は共働きで帰りはいつも九時を過ぎる。なので夕飯はいつも弟が作っている。
「××く~ん。お腹すいた~」
私が人参を切っている××に覆いかぶさるように寄り掛かる。
「馬鹿! 包丁持っているのに危ないだろっ!」
そう言って、私を無理矢理ふり払う。
あぁ、(わたしが)包丁で怪我しないために……。
(俺が)包丁で怪我したら明日のバスケができないだろ……。
姉弟の考えは微妙に合わないものだ。
む、人参、玉葱、じゃがいも、おにーく。
この食材によって作られる料理。それは――――。
「我が弟よ! 今日の夕飯はカレーライスだな!」
「シチューだよ」
北海道濃厚クリームシチュー・改のルーを指差す。
「…………うん。美味しいよね。シチュー」
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