【第一章 元ヤン教諭と泣き虫幽霊】

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カチャカチャとお皿を洗う音をBGMにして土曜日に行われる遠足の資料をまとめる。 場所は少しだけ市外の公園。 緑が多く、広い原っぱでお昼を食べるという園長先生の考えらしくていい。 「ねぇ、土曜日の天気ってなに?」 慣れた手つきで次々とお皿を洗い終える弟へ問い掛ける。 「俺がわかるわけないだろっ。テレビでも見ろよ」 ぶっきらぼうだ。反応がぶっきらぼうだ。 ちくしょー。反抗期なのか? そうなのか? 仕方なくテレビをつける。 「逃げ出したオオサンショウウオは無事に捕まったようです」 眼鏡をかけ、整えられた髪の毛のキャスターが原稿を読み上げていた。 「次は週末の天気です」 おおぉ! グッドタイミング。 「週末は全国的によく晴れ絶好の行楽日よりでしょう。」 ぷちっ。 「ふ、ふふ。ふはははは!」 天候さえも我の味方であると高笑いをし始めたのは水戸 美歌(みと みか)である。 幼稚園教諭であり、心に傷を持っていた。
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