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「じゃあ、喋れよ?」
稔が、冷たく言い放つように言った。
「君は、言えるのか?
あの日のことを。」
初めて見る、稔の冷たい表情は、
ただ、怖かった。
西原が、細い肩を震わせていた。
「グスッ・・・」
と鼻をすする音が聞こえる。
「稔!やめろよ。」
功が稔の肩を揺する。
稔は、はっとしたように、いつもの顔つきに戻る。
「・・・ごめん。
あんたは悪くない・・・
何も・・・悪くないんだ。」
稔は、自分と西原、両方に言い聞かせるように呟いた。
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