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所変わって家の近くにあるわりと大きな公園。「鳩山公園」と名のつく、アスレチックや運動場がある多目的公園だ。
しかしそこに子供達の姿はなく、変わりと言ってはなんだがさっきのゴツイ餓鬼に比べると、可愛いとさえ言えるほどの小さな鬼の姿をしたものがそこで運動場に大きな落書きをしていた。
「・・・あれも餓鬼か?」
「そうだ、あれは小鬼だな。餓鬼にもいろいろ種類があるんだ」
八咫はそう答えると小鬼の描いた落書きを見渡した。
「落書き」と言っても大きな円の中に五芒星、そして何やら俺じゃ到底読めそうに無い、形の崩れた漢字らしきものが描かれていた。
「捕縛結界の呪陣だな・・・出来上がる前に潰しておくか」
そう言うとゆうちゃんは小鬼に切りかかった。
しかし小鬼もただでやられてくれる優しい心の持ち主ではないらしい。恐るべき速さでゆうちゃんの背後に回り込み、何か呪文のようなものを唱え人差し指をゆうちゃんに向けた。
するとゆうちゃんはトラックにはねられたかのように吹っ飛んだ。
「・・・あれ、大丈夫なの?」
俺は八咫に聞いた。
「まったく油断しやがって」
八咫がため息をつく理由の一つである。
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