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「ちっ、逃がしたか」
そう言って少女は俺の方を振り向いた。
凛としたその顔にはまだあどけなさが残る、結構可愛いかも・・・。
まぁ助けてくれたんだ、とりあえずお礼言っとこう。
「えーと、助けてくれた・・・んだよな?ありがとう」
「別に、それより貴様何故闘わなかった」
「いや、戦うったってあんなのとどう戦えば・・・」俺がそうつぶやくと少女は驚いたように言った。
「お前術を知らないのか?・・・いや、それ以前に餓鬼のこともしらないだと?」
・・・は?すべ?がき?なんのこっちゃ?
「餓鬼ってのはさっきお前さんを襲った妖のことさ、術はまぁお前達で言うとこの魔法みたいなもんだ」
いきなりしわがれた渋い声がしたと思ったら少女の肩に一羽の烏が留まっていた。
「烏が喋った!?」
「俺様をただの烏よばわりすんじゃねぇ!俺様は由緒正しき烏天狗の八咫さ!今はちょっと鳥の姿になってるがな!」
・・・今日は不思議な日だ。餓鬼だかに襲われて、目の前にいる少女に助けられて、ついには喋る烏ときたもんだ。
俺は頭が変になったことを疑わずにはいられなかった。
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