†第一話†

6/8
前へ
/116ページ
次へ
あれから二日。 そう言えば、あの時「コイツは俺のモノだ」って言ってた…。 あれは…どういう意味? それに、「俺の名前はシュン…お前は?」って…。 「………僕の…なまえ……。」 名前……なんて 僕には、無いよ…。 僕の本当の名前なんて、もう忘れちゃった。 僕は唇を噛み締めた。 そしてふと思った。 「…はやと…って誰だろ…。」 シュンがたまに口にする名前。 ………誰? シュンがその名前を口にすると、いつも微笑む。 はやとって誰? ―コンコン 「…っ!?」 考え事をしている時、いきなりドアのノック音がしてびっくりした。 ガチャ… そして入って来たのは、シュンだった。 いつもとは違ってスーツ姿のシュンは、髪も1つに縛っていた。 「…なんだ、起きてたのか。」 僕は黙って頷く。 シュンは「おはよう」と言って、僕の頭を撫でた。 その手は、とても心地が良かった。  
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

722人が本棚に入れています
本棚に追加