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そしてシュンを見た。
やっぱり、格好いいな…。
僕とは違って、シュンは階級の高い人間…。
僕みたいな孤児をどうして拾ったの…?
「………。」
そんな事をおもって見てると、シュンが気付いたのか手を止めた。
「…どうした?」
感づかれたとおもって必死に別な事を考える。
「…え…あ…、そ、そう言えば、僕の名前…何だけど。……僕に名前なんて…無いよ?」
「え?」
「僕…孤児で、小さい頃から競りにかけられてて、そこで決まった主人から名前つけて貰ってるから、主人が変われば、名前も変わるんだ…。だから、僕の名前…無いんだ。」
僕は俯く。
手に力を入れて握る。
今とは違って辛い過去。
思い出すのも嫌になる。
…ポン…ポン
え?
シュンが急に頭を撫で始める。
不思議に思った僕は顔を上げると、シュンが微笑んでこう言った。
「名ならあるだろ。」
「え?」
「お前の名前は“隼人”だ。」
は…やと…?
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