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貴方と私
愛してるなんて言葉
必要なかった。
ただ互いの体温さえあれば
それだけで良かった。
なかなか会えない日には
テープに互い声を吹き込んだ。
「寂しい」
なんて聞かせたくなくて
言った度に何度もとり直した。
そんな日々はもうかえってこない。
私の声しか入らない。
「寂しいよ」
そう言ってもとり直す必要はないんだね…。
あの頃の二人の声。
誰にも聞かれたくないから
深い深い海の底、そのテープを沈めた。
これで二人の声は誰にも知られない…。
「愛してるよ」
カセットテープに入った
貴方の最後の声は
私だけのもの…。
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