PRESENT1

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男の子は1分もしないうちにケーキを食べてしまい、2個目に手を出そうとしていた。 「ちょっと待った!」 「なんだよ?」 「ちょっと図々しいんじゃないかな?それに、食べたらすぐ帰るって言ってたわよね?」 「帰るよ……あと何個か食べたら」 小雪の言ったとおり確かに図々しいかもしれない、普通の人ではありえないような事をしているのだから。 「だから!ここはケーキバイキングじゃないって言ってるでしょ!」 「わかったよ!だから耳元で叫ばないでくれ!」 男の子は小雪がうるさく言うのが嫌になって、ようやく諦めたようだ。 まあ、知り合いでもない普通のケーキ屋で、店内でケーキを食べさせてもらえただけでも有難いと思うべきだろう。 「では、改めて……チョコレートケーキ1個で350円になります」 小雪はぶすっとした顔からいつもの営業スマイルに戻して、笑顔で言った。 しかし、その笑顔もそんなに長くは続かなかった… 「金とるのか!?」 男の子のその発言を聞いて小雪はきょとんとして、何を言ったらいいのかがわからなくなってしまったようだ。 当然店で何かを食べたり、レジに持って行ったりするとお金を払うことになる。 そして、それは世界共通のはずなのだ。
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