PRESENT1

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「普通じゃないんですか?」 「俺のところでは金を払わないでもケーキ食べれるぞ。クリスマス終了後だけだけど…」 お金を払わなくてもケーキが食べられるなんて、そんなの日本どころか世界にあるのかも不思議だった。 まあ、男の子が住んでいるところのルールなんて今はどうでもいいのだが… 「ここではそうなっているんです。だから払ってください」 「でも、俺金持ってないし…」 お金も持たないで、こんな寒い日になぜ出歩いているのか? 小雪はそのことが気になって仕方がなかった。 しかし、無銭飲食なことにかわりはない。 「じゃあ、仕方ないわね…」 「許してくれるのか!?」 男の子の顔に急に笑顔が戻った。 男の子は今の言葉を聞いて許してもらえると思ったのだろう。 しかし、小雪の方も商売なのだから許すはずがなかった。 「君、名前は何て言うの?」 「へっ?名前?」 「そう、名前。もちろんフルネームでね」 「ノエル・ニコラウスだけど…」 ノエルと名乗った男の子は、小雪が何を考えているかさっぱりわからず仕方なく答えたといった感じだった。 「そう…」 そう言うと小雪は、 「お父さん!お父さん!」 と、店の奥から父親を呼び出した。 そして、ノエルは何が何だかわからなくなり、さらに頭にクエスチョンマークを浮かべていた。 「どうした大声出して?」 「この人がアルバイトしたいんだって」 「なっ…!」 ノエルはかなり驚いていた。 まさかこんなことになるとは思わなかったのだろう。 しかし、無銭飲食をしたのだからその分働いて返すのは当り前の気もする…
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