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そして、ノエルがアルバイトを始めて30分後…
「全然お客来ないな…」
「そうね…」
30分も経ったはずなのに、お客はあのおばさんを合わせて2人しか来ていない。
やはり田舎だからなのだろうか?
それとも外が吹雪いているから来ないのだろうか?
「いつもこんな感じなのか?」
「この頃になると、結構お客さんは来てくれるんだけどね……今日は雪が降ってるからかな?」
「まあ、俺の仕事があんまりないからいいけど」
ノエルはあくびをしながら、小雪に聞こえないようにそう呟いた。
「こっちは全然よくないわよ!」
しかし、それを聞き逃さなかった小雪は急に怒り出し、ノエルに八つ当たりするように大声を上げた。
「そんな叫ぶなよ…」
小雪を怒らせてしまったと思ったノエルは、どうやって機嫌を取り戻させればいいのかあれこれ考えていた。
カランカラン
するとタイミングよく店のドアが開く音が聞こえてきた。
その瞬間、小雪はさっきの怒っていた顔を一変させいつもの営業スマイルに戻していた。
ノエルは助け舟が出てきたことに少しホッとしたが、その安堵感もそんなに長くは続かなかった。
「いらっしゃい――」
「あー!こんな所にいた!」
店に入ってきたのは少し小柄な女の子で、その子は入ってくるなり小雪の言葉をさえぎり、カウンターを見て大声で叫んできた。
「えっ…?」
小雪はその女の子に全く見覚えはないようで、何で叫んでいるのかわからないような顔をしていた。
今日は変なお客が多いとでも思っているのだろう。
しかし、小雪はすぐ隣にいたノエルの顔を見て、ようやく店に入ってきた女の子がなぜ叫んでいたのかがわかった。
「イブ!なんでお前こんな所に!?」
イブと呼ばれた女の子はどうやらノエルの友達のようだ。
そうなると話は早い。
イブはノエルを連れ戻すためにこんな田舎まで探しに来たのだろう。
そして、ようやくこの店で見つけたということだろう。
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