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「おばさん大丈夫かな…」
「大丈夫だろ。あのおばさん丈夫そうだし」
「人事みたいな言い方ですね」
「なんでさっき会ったばっかりのおばさんを心配しないとダメなんだよ」
冷たい…
初対面でも心配してあげるべきだろう。
こんな人が居るから今の日本はダメになってしまうのだ。
と、小雪もよくわからない事を考えていた。
「お~い!聞いてるか?」
「は、はい!なんですか?」
小雪は急に男の子に呼ばれて慌てて返事をした。
接客中にお客さんの話を聞いていないなんて…
と、思っているようでかなり責任感がある性格のようだ。
「なんか温かい飲み物ある?」
「あの…ここケーキ屋なんですけど?」
「紅茶とかあるんじゃないの?」
「ケーキバイキングとか、買ってその場で食べられる店ならあるかもしれないけど、ここは普通のケーキ屋さんなんだからあるわけないじゃないですか!」
そう叫んだ瞬間『しまった!』と思ったが、そう思った時にはもう遅かった。
その声は店中に響いてしまって親にまで聞こえているはずだ。
「そうなのか」
しかし、1番近くで聞いていたはずの男の子は、そう言うと何も気にしていない様子でケーキを選び始めた。
――あれ?
意外と大きな声じゃなかったのかな?
そう思ったのと同時に、店の奥から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
「コラ!!店の中で叫ぶな!!お客さんの迷惑だろ!!」
「ご…ごめんなさい!」
やっぱり聞こえていたようだ。
元々小さな店なのだから、聞こえない方がおかしいのだが…
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