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「アハハ!怒られてら!」
「君のせいなんだから…」
「はあ?なんでだよ?」
男の子は不愉快そうな声で言ったが、ケーキの方ばかりに見ているせいかあまり怒っているようには見えなかった。
「君がよくわからないことばっかり言うから…」
「俺はただ聞いただけだろ?」
「確かにそうかもしれないけど…」
「じゃあこの話は終わりだ。あ、そのケーキちょうだい」
そう言うと男の子はチョコレートがたっぷりかかっているケーキに指をさした。
小雪は納得がいかない様だったが、これ以上は何を言っても聞いてくれそうになかったので、ため息をつきながらチョコレートケーキを取り出して箱に詰めようとした。
「箱に詰めなくてもいいよ。ここで食べるから」
「……はぁ?」
男の子のよく分らない発言に小雪はきょとんとしてしまった。
「だから、ここで食べて帰るって…」
「あのね、さっきも言ったけどここはケーキバイキングの店じゃないの。普通のケーキ屋の店内でケーキが食べられるところなんて…探したらあるかもしれないけど、うちのケーキ屋では食べられないの」
小雪がそう言うと、今度は男の子の方がきょとんとしていた。
「まあ、気にするな。たまにはこういうのがあった方がいいだろ?」
「無い方がいいんですけど…ほかのお客さんにも迷惑がかかるし…」
「大丈夫だよ。ほかに客いないし、食べたらすぐ帰るから」
男の子はそう言うと、まだ迷っていた小雪からケーキを取って一口食べてしまった。
「あっ!」
「うまい!」
「あ、ありがと…でも、勝手に食べないでよ…」
「もう食べたもんは仕方ないだろ?」
結局小雪は男の子の屁理屈に呆れて何も言わなくなってしまった。
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