02.小さな優しさ

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でも誰かはわかっていた. 見覚えのある形, 嗅ぎなれたこの臭い. 石田のコ-ト. それ以外考えられない. 石田を探し見ると 近くのスタッフに 上着を借りていた. 石田は凍えている俺に 気づいてくれた. そして気遣ってくれた. 俺の馬鹿なプライドを 傷つけないように. 石田と目が合った. 「もうすぐM-1やねんから.体ぐらい気つけてや」 石田も素直じゃないのが 丸わかりだった. 思わず笑けて目を背ける. 素直じゃない石田が 可笑しくて 石田の被せてくれたコ-トが 暖かくて 石田の不器用な優しさが 暖かくて. 今日ぐらいは素直に 優しくされようと 俺は暖かいコ-トを ずっと被っていた. END
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